広島地域 8ch

毎週土曜日 朝11時35分放送(土曜日 深夜再放送中)

独自の価値を創造する企業をテレビ新広島とTSSプロダクションが総力取材

放送内容 過去に放送した番組をご覧ください。

2018.02.18 O.A.

子どもたちの未来をみつめる

株式会社奏音(かのん)
遊びを通して、子どもたちの発達を促す・・・

「発達支援ルーム」と名付けられた施設。ブランコやトランポリン、大型遊具などがあります。館内に響き渡る子どもたちの元気な声。遊びを通した運動で日常の動作の発達を促し、社会復帰訓練を行っています。利用しているのは、発達障がい、脳性マヒ、身体や行動に、何らかの障がいがある子どもたち。近年よく耳にする発達障がいは、感覚の偏りがあるといわれています。ある一つの感覚に対して、敏感であったり、鈍感であったりする。その感覚に運動を通して刺激を入れることで偏りを少し少なくしていく。能動的に自分から行動できるよう発達を促していくのが感覚統合理論と呼ばれる理論。その感覚統合理論に基づき療育を行っています。

発達支援ルーム・・・

大型遊具があり、子どもたちが遊びを通して身体を動かす発達支援ルーム。マンツーマンによる療育であり、1時間単位という時間制が基本です。最初の30分、感覚統合理論に基づいて、しっかり身体を動かす。その後、それぞれのニーズに合わせて個別で机上課題に取り組み集中力を養う。また、言葉が苦手な子どもに関しては、言語聴覚士がサポートしています。

作業療法士としての視点・・・

発達支援ルームには、ブランコがあります。子どもたちが何気なく遊んでいるように見えますが、不安定な中で、バランスを取ったり、体幹が鍛えられる効果があるといいます。そして、ロープを握る手。ブランコは揺れるので、何かを持たないと落ちてしまいます。だから、ロープを握る。この握るという動作は、箸や鉛筆を持つことにつながるといいます。箸や鉛筆を持つ時、親指、人差し指、中指を使いますが、その3本の指は固定しているだけで、薬指、小指の筋肉がしっかりしていないと保持することができないのです。だから、ブランコのロープを握るというのは、指の発達を促す一つでもあるのです。そして、発達支援ルームでは壁登りもできます。オリンピックの新種目として注目されているボルダリングです。人間は、両手両足を1・2・3・4の順番に動かして動いています。無意識に動かしているようですが、実際は、何をどう動かすか考えながら動いているのです。これが、運動を組み立てるという大事な要素。ボルダリングは考えながら順番に身体を動かさないと目標にたどりつくことができません。それを自然に引き出す遊びだと作業療法士である森川代表は考え、ボルダリングを療育の中に取り入れたのです。

母としてできること・・・

森川代表は4人の子どもを育ててきた母親でもあります。実は、4人の子どものうち、末娘が発達障がいであると診断を受けたのです。障がいのある子どもには作業療法、つまり療育が必要なのに、3カ月待ちや半年待ちなど、充分に療育を受けられない子どもたちがたくさんいることがわかりました。それなら、作業療法士である自分が療育の場を作ろうと奏音を設立、発達支援ルームを作ったのです。会社の設立は、2010年。現在、広島市内に3つの発達支援ルーム、松山市内にも、1か所発達支援ルームを設けています。

切れ目ない支援のために・・・

心の扉を開き、発達支援ルームに通う子どもたち。しかし、中には、社会に出て来ない、来られない子どもたちや大人もいるといいます。そこで、新たに立ち上げたのが、訪問看護リハビリステーションでした。精神科の訪問看護型の支援の仕組みを作ったのです。傾向として、不登校の方が長期化すると引き籠りやニートなどにつながる。その連鎖を断ち切るために、自宅を訪ね、関係を築きながら利用者とふれあい、支援を行っています。それらのサポートにより、社会への窓を開けることが目的です。奏音では、施設を飛び出し、野外活動やキャンプなども行っています。その最たるものが、年3回行う沖縄キャンプです。生活をともにすることによる仲間作りの効果があるといいます。自分より年下の子どもたちを思いやり、目上の人を尊敬する。また、不登校だった子どもが「沖縄の学校なら通いたい。」と言い出したり、その効果は多様です。

家族丸ごと支援・・・

発達支援ルームには、子どもたちだけでなく、母や父など保護者の姿も見られます。預けっぱなしではなく、同じ時間を過ごす。療育を受ける子どもたちの様子を見ることが大事なのだと森川代表は考えています。また、「悩みを他の保護者やスタッフと共有することでリフレッシュできる。」と保護者の方は言います。「子どもだけでなく家族みんなが元気でないと子どもも元気にならない。つまり、家族丸ごと支援。子どもたちの成長が自分たちの報酬。」だと森川代表は笑顔で話します。

企業情報
会社名

株式会社奏音(かのん)

業種医療,福祉
事業内容児童デイサービス 訪問看護ステーション
(発達障がい、知的障がいなどをもつ子どもの療育支援)
代表者代表取締役 森川敦子
所在地〒730-0014
広島県広島市中区上幟町9-15 ソシオ上幟1005
お問い合わせTEL 082-846-4168 FAX 082-846-4169