2018.09.23 O.A.
創業の思いを胸に その歩みはユーザーとともに
巻寿司。ちらし寿司。お弁当。
多くのバリエーションを持つ、玉子焼。
さらに干瓢、椎茸といった、寿司具材。
きんぴら、筑前煮といった、野菜加工品。
数多くの業務用食材を提供し続ける企業。
それが株式会社あじかんです。
本社の正面玄関を入ると、創業当時、
玉子焼を焼くために使っていた鍋が飾られています。
焼き上げた玉子焼を一本一本届けながら、
ユーザー要望を聞いて、共に繁栄していく商いをする。
その思いは、創業から50年を経た今も、変わることはありません。
製品の多くが生まれてきたきっかけは、ユーザー要望でした。
中でも苦心したのが、焼目入りの厚焼玉子です。
濃くなると焦げとなり、クレームにもなりかねない焼目。
それを均一につけるために、油の量や火加減を工場と調整しながら、
製品化に成功しました。
様々なニーズや要望の奥にある、困りごとにまで気を回し、
付加価値をつけた製品を開発する。
それがあじかんの目指している開発です。
営業担当が持ち帰る、ユーザーからの要望。
それを社内で相談し、ユーザーの求める以上の製品を作り出す。
この繰り返しであじかんは、様々な製品を提供して来ました。
メインとなるたまご製品には、ひとつの課題がありました。
それは卵価の変動が、利益に影響すること。
あじかんは、たまご以外の主原料を模索していました。
ちょうどきんぴらごぼうの売上が急激に伸びたことをきっかけに、
中国にあるごぼうの産地を視察。そこで食べた昼食は、ごぼうづくしの料理。
なんと、お茶までごぼうで出来ていました。
それがごぼう茶との出会いでした。
あじかんは開発をスタート。
青森や茨城を中心とする、国内生産のごぼうを原料に、
おいしくて飲みやすい、ごぼう茶を誕生させることに成功したのです。
2014年には、独自の焙煎技術で、特許を取得。
ごぼう茶は、あじかんを支える大きな柱へと成長。
さらには消費者に直接販売する初めての製品となったのです。
巻寿司の具材を作っているあじかんでは、文化の醸成にも取り組んでいます。
国内はもちろん、中国やマレーシアといった海外で、巻寿司教室を開催。
巻寿司の普及に努めています。
あじかんには、目指す企業像があります。
「全員経営ですね。
皆がそれぞれ考えて、それをどう具現化するか。
やらされるのではなく、自分で仕事をやっていく。」
と足利社長は語ります。
創業の思いを胸に、あじかんでは、新たな製品開発に取り組んでいます。
『利益は後についてくる』
業務用食材を軸に商品提供をするあじかん。
〈あ〉からはじまり〈ん〉で終わる。無限の可能性と創造性を象徴し、
仏教の修行法に通じる社名。
会社を訪問し足利社長にインタビューを行った。
足利社長は、昔を大切に新しいことを一歩一歩積み上げて、
後世に伝えていく地道な活動が、会社として大切だと語る。
国内はもちろん海外にも生産拠点を持ち、商品展開をはかるあじかんだが、注目はヘルスフードであるごぼう茶。ここでヘルスフードとは、これまでない飲料関連分野への進出である。
ごぼう茶の開発・商品化には、5年ほどかかっているそうだ。業務用製品を得意とする企業が、あえて消費者向けに展開する。これは大きな転換になると考える。
業務用で力をつけた企業だからこそ、次の段階に移行出来る。
新しいノウハウを積み上げることが、自社にとって、必要かつ重要であるとのこと。
そして既存商品とコラボレーションが図れるモノであることがポイントになる。
あじかんは、客が喜ぶものを提案し、過去と未来を見据えた商品開発を大切にしている。一見関係性がないようでも、食を通じた幸せや感動を提供することで、将来に渡って継続的な事業となる。和食を支える食材の提供を推し進めることは、売上・利益は小さくても、積み上げることで、あとになって利益を得ることができると考える。このような考え方を社員一人一人が持つことで、日本の伝統食材と新しい日本企業の提案として将来に渡り継続する企業となり得る。
あじかんでは巻寿司の普及にも力を入れている。そのひとつが、学研プラスから出版されている、漫画で伝える「巻寿司のひみつ」(「まんがでよくわかるシリーズ」)。あじかんはその制作に全面的な協力をした。
日本の伝統的な巻寿司を楽しく伝えることで、その文化を将来に向けて残し、新しい巻寿司を提案することにもつながっている。
今回のポイントは『利益は後についてくる』。
従来市場から変わる新商品を開発し、グローバルな展開を図るとともに、
伝統的な従来食品を大切にする。
昔を大切に、将来を見据えた事業活動をすることで、利益はのちのちついてくる。
これからもあじかんのおいしい食材を楽しみにしたい。
会社名 | 株式会社あじかん |
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業種 | 製造業 |
事業内容 | 鶏卵加工製品 野菜加工製品 水産練製品 その他食品の製造販売および卸売 ならびに農産物の生産、販売 |
代表者 | 代表取締役社長 足利 恵一 |
所在地 | 広島市西区商工センター7-3-9 |
お問い合わせ | 082-277-7010 |
ホームページ | http://www.ahjikan.co.jp/index.html |