2019.02.17 O.A.
常識を打ち破れ!鍛造企業は精密のみを目指す
社会を支える自動車。
その下支えをしているのが、精密部品です。
従来、こうした製品は、金属の塊から製品を削り出す、
機械加工でしか実現出来ないものとされてきました。
その常識をくつがえした企業があります。
それが鳥取県東伯郡北栄町にある、
株式会社 寺方工作所です。
高精度の製品を実現している技術が「鍛造」。
金属に圧力を加えて形を作る、塑性加工法です。
寺方工作所の最大の特徴。
それは製品がミクロン単位の精度を持っていること。
金型を設置したプレス機で、金属の板を加工。
一般的に、研磨などの仕上げ作業が必要とされるプレス加工品ですが、
寺方工作所の製品は、加工された時点で完成品。
一切の後処理を必要としません。
自社の強みを活かした、自動車やプリンターといった
高精度が要求される製品を作っています。
もっといいものを作りたい。
その思いで、新技術を開発しました。
その名も「温間精密鍛造」
硬かったり、一定以上の厚みのある金属は、
精密な鍛造がしにくいことがあります。
出来上がった製品に、ひびや割れが生じてしまうのです。
そこで寺方工作所では、温度を制御した加工を検討。
金型を約260℃まで加熱。
素材も同じ温度まで加熱して、加工を試みたのです。
すると製品の表面が、まるで鏡のような、
光沢のある仕上がりになったのです。
新工法の確立は、これまで難しいとされてきた、
硬い金属や、厚みのある素材の加工も可能としたのでした。
新技術の開発。
それを支えているのは、社内体制です。
鍛造に使用する金型は、設計から製造まで内製化。
製造された金型は、金型保全課で管理されています。
出来上がった製品のチェックをしている部門が、品質保証。
温間加工の専用工場も建設し、
高精度製品の量産に向けて、取り組んでいます。
高精度製品を実現する寺方工作所の新技術。
それは新たなる価値にもつながっています。
中小企業を支援する、鳥取県産業振興機構によると……。
「切削でしか出来なかったものが、
別のアプローチで、従来品に負けない技術が出来た。
新しい技術が出来てメーカーが注目すると、
県内での雇用が広がる。」
といいます。
日本のものづくりを支える企業であり続ける。
寺方工作所は、その思いを胸に開発を続けているのです。
「高精度の再現」
精密鍛造製品を特長とする寺方工作所。
今回のポイントは「高精度の再現」。
この点について寺方社長にインタビューを行った。
様々な高精度部品を高い強度で安定的に生産するには塑性加工は有効な技術である。しかし潰して盛り上げて形を作っていく鍛造技術は計算通りにはなかなかいかない。
この製造技術は現場が担当し維持するが、一方で顧客のニーズの先を行く設計技術は別に設計部門が先行させる。いろいろな材料・形状・品質に対応する加工方法を試行錯誤する開発は設計に集中させる。顧客から相談がある時にはすでに生産できるようにしていく考えだ。
良い製品は良い機械とその生産を支える現場の技能、
さらに良い状態に保つメンテナンスにある。
製造と設計の双方をつなぐのはメンテナンス教育にあるそうだ。
ここは一緒に行うことで、技術の根幹となる部分の考え方を共有しているとのこと。
寺方工作所の技術は精密板鍛造と呼ぶ、
プレート素材から順送工程により鍛造加工をして所定の形状に仕上げていく。
注目は角部にある。実にきれいに立った角に成形される。ここがすごい。
寺方社長は、必ず精度が出る作り方を考えるうえで、必ず精度が決まる面を作ることが大切だとしている。
品質の維持は「高精度の再現」にあり、たゆまぬ技術開発とそれを実現する技能の上にある。
設計と製造の双方の社員の協力があってこそ、ものづくり中小企業の特異で特徴のある付加価値の高い製品ができる。
そして、情熱がある限り幾度の波があっても乗り越えていける会社であり、
若き職人と技術者のやりがいに繋がっていくのだと考える。
会社名 | 株式会社寺方工作所 |
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業種 | 製造業 |
事業内容 | 寺方工作所では、電子部品の製作で培った超精密金型の製作技術と、超精密金型を使用したプレス加工でのミクロン単位での精度管理技術に加え、独自開発の「冷間板鍛造板順送プレス加工」により、従来の機械加工品と同様の立体形状、寸法精度をプレス加工で実現することにより、機械加工からの工法転換により、品質の向上とコスト低減をお客様にご提案いたします。 |
代表者 | 代表取締役 寺方 泰夫 |
所在地 | 鳥取県東伯郡北栄町田井175 |
お問い合わせ | 0858-36-4311 |