2018.02.04 O.A.
次世代に誇れる価値共創企業へ
2014年に豪雨災害に襲われた広島市安佐南区の現場では、今、砂防堰堤の整備が進んで
います。砂防堰堤は上流から流れてくる土石流をせき止め被害を軽減させるための施設。
砂防堰堤が設置されることで被害はかなり軽減されます。
防災・減災の重要性が叫ばれる中、この砂防堰堤をはじめ、測量や調査、設計の面で地域の
安全を支えている企業があります。広島市に本社をおく株式会社荒谷建設コンサルタント
です。
アラタニは大正5年、井戸掘りを行うポンプ店として創業。戦後は被爆した広島の街に水を供給するため、あちらこちらにポンプを設置して回ったと言います。100年もの間、広島の都市基盤を下支えしてきた老舗企業です。
今では、道路や港、公園、砂防など「私たちの暮らしに直結する場」を、計画から測量、調査・解析、設計、メンテナンス、施工管理まで幅広く手がける「総合コンサルタント企業」となっています。
街を走るMMS搭載車両。これは走行しながら地形や建物などの3次元位置情報を計測する
システムを搭載した車両です。集めたデータは設計や自動運転システムなどに活用されて
いきます。
アラタニは、このような最新技術をいち早く取り入れる企業です。
ドローンや橋梁点検車などもいち早く導入。今は、国土交通省が推進するi-Constructionのトップランナー施策である[ICTの全面的な活用」実現のため「CIM推進プロジェクトチーム」を立ち上げ準備を進めています。
荒谷社長は言います。「災害現場においては、新しい技術、例えばドローンを飛ばすことによりいち早く情報を入れて伝えることができる。そういう意味でも、設備投資はしっかりしていきたい。」と。
※CIM:調査・設計の段階から3次元モデルを導入しその情報を活用・共有することで
業務効率化・高度化を図る手法
広島に本社をおく地方企業でありながらいち早く最新の設備を取り入れていくアラタニには、前社長から引き継がれているこだわりがあります。
地域密着。
新しい技術を持って地域のニーズに幅広く、素早く対応できる企業でありたい。
これがアラタニの考えなのです。
今ではグループ企業も設立。「人間と自然を考える」を企業テーマに、「安全・安心な
まちづくり」「地域活性化」を視野に入れた事業展開を行っています。
荒谷建設コンサルタントの主要業務の1つに地質調査があります。その現場で作業にあたる社員の中に女性技術者の姿。
理学部出身の「リケジョ」が選んだ地質調査という仕事は危険な場所での作業もあり、
これまで女性技術者はほとんどいなかった世界です。
彼女は言います。「大変なことは多い。力仕事など、自分の力だけではクリアできない部分もあるが、男性の先輩や上司がサポートしてくれる。この業界では男女関係なく活躍していけると思う。」と。
担い手不足が深刻な課題となっている今、アラタニは「女性技術者を積極的に採用・育成
していきたい。」と考えています。女性が定年まで働くことができるよう「女性の働き方
プロジェクトチーム」も設置し、女性活躍推進に向けた取り組みを検討しています。
アラタニでは毎年「Youth Talk〜若手社員プレゼン大会~」を実施しています。
これは若手社員が自分の夢と想いを自由に語る場です。3年前に若手社員の発案で
始まりました。
第2回大会で「まちづくりをしたい」と発表した男性社員は、その発表がきっかけで
社内にプロジェクトチームが立ち上がり、チームの一員となりました。
「自分から発信してやりたいことができるとは思っていなかったので驚きを覚えた。自分の発表をきっかけにプロジェクトチームが立ち上がり、今、進んでいる。自分が発言したことで会社が動いてくれることに喜びを感じます。」と語ります。
「私はこの土木という仕事を誇らしく思っている。この仕事を、次世代の人たちが憧れる
仕事にしたい。そのためには女性や若手が活躍している、そんな舞台を作っていくことは
とても大事だと考えている。」と語る荒谷社長。
この若き社長は2016年、アラタニ創業100年を機に就任しました。
掲げたキャッチフレーズは「Be Araise!」
アラタニの「アラ」と「ライズ(上昇する)」を合わせた「Araise」をさらに上昇させようという気持ちを込めたキーワードになっています。
「地域と共生する企業」「未来に向かって発展する企業」「従業員満足を追求する企業」。
この3つの指針のもと、未来志向の会社づくりに取り組み始めた荒谷社長。
「Be Araise!・・・と、これからの10年間を駆け抜けたい」と語ります。
創業から100年、人間と自然を考える、地域に密着した社会資本の整備を
考える荒谷建設コンサルタント。
アラタニの本社で荒谷社長、鎌田さん、中川さんにお話を伺った。
今回のポイントは『次世代を支えるために必要なこと』にある。
時代が変われば、社会資本の考え方も、設計の考え方も変わっていく。
地域の実情に合わせた街づくり、都市計画に及ぶ将来に向けた対応に
備え、少子高齢化・働き方を踏まえた住民の生活、利便性、楽しさ、
そして新しい文化の発信が町を活性化させる。
VTRでは時代に合わせた新しい技術による業務展開や女性社員の活躍など
を
紹介してきた。
アラタニのビジョンは「地域と共生する企業」「未来に向かって発展する企業」
「従業員満足を追求する企業」とされている。
その実施事例の一つとして、福山駅で実施された歩道などの公共空間を活用した
マーケットやオープンカフェの社会実験(OPEN STREET FUKUYAMA 2017)を
アラタニが支援したことが挙げられる。
この社会実験のキーワードは「エリアマネジメント」。
「エリアマネジメント」とは、地域における良好な環境や地域の価値を
維持・向上させるための住民・事業主・地権者等による主体的な取り組みの
ことである。
再開発した福山駅前は実はまだまだ発展途上といえるなかで、
そこに住み、事業を行う方々が街の活性化のために文化や食だけでなく
参加型イベント行っている。4日ほどのイベントだが継続して行うそうである。
課題は「継続」。続くような仕組みが定着しなくてはならない。そこにいる
事業者と住民が一体となって行う「続く取り組み」が街を良くしていく。
この事例だけでなく、さまざまな道路や防災施設、建物や施設。
これを守り活性化してくのは作った自治体でもなく建設会社でもない、
そこにいる住民が主役だ。そこが文化の発信地となれば、人が集い、
交流が生まれ、新しい事業やビジネスも生まれてくる。
社会人はみな地域のために何ができるか、気に掛けることが自身の生活を
守るための重要な使命ではないだろうか。
今回のポイント『次世代を支えるために必要なこと』は
地域の住民による自治と参加を促して、ともに地域の生活と文化を見直し
生み出していくこと、そのための新しい“創る”を考えていくことにある。
荒谷建設コンサルタントはチャレンジする社員の思いを明確に発表できる
会社であった。
次世代につなげるための触媒となる“アライズ”の想いの具現化を楽しみにしたい。
会社名 | 株式会社荒谷建設コンサルタント |
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業種 | 学術研究,専門・技術サービス業 |
事業内容 | 土木関係建設コンサルタント業務 測量業務 地質調査業務 建築物の設計及び工事監理 補償コンサルタント業務 計量証明事業 労働者派遣事業 物品販売事業 農産物の生産及び販売 上記に附帯関連する一切の業務 |
代表者 | 代表取締役社長 荒谷悦嗣 |
従業員数 | 362名 |
年商 | 47.8億円 |
所在地 | 広島市中区江波本町4番22号 |
お問い合わせ | TEL:082-292-5481(代表) FAX:082-294-3575 企画調整部 |
ホームページ | http://www.aratani.co.jp/ |