2018.08.05 O.A.
品質へのこだわりと新事業への挑戦
広島の中心地、紙屋町では、今、約3年の歳月をかけて行う大規模な工事が進められています。竹中工務店の元請けで始まった広島銀行本店の建て替え工事です。それに伴う解体工事を進めているのは株式会社桑原組。これまで一万棟以上を手がけてきた解体工事のスペシャリストです。
広島本通り商店街にあるアンデルセン本店の解体もこの企業が請け負っています。被爆建物として一部を保存するため、特殊な技術力が求められる工事です。
この企業が、なぜ選ばれるのか?
それは「品質の良い解体」に心がけているからだと担当者は言います。
桑原組では通行人や車の多い街中での解体作業を多く行っています。当然、通行人や車、また、近隣への騒音対策など安全面や環境面への配慮が要求されます。
その際、この企業では「階上解体」という施工方法などを採用。重機を上階にあげ上から順番に解体していく方法です。この工法だと騒音、振動、粉じんを出来るだけ抑えることができるのです。しかし、建物に補強を入れるなどの高度な技術も必要です。
高い要求に応えられるこの技術力と、そして実績に基づく確かな信頼があるからこそ、難しい解体工事の依頼がこの企業にくるのです。
桑原社長は言います。
「外から見た時に、解体現場は怖い、汚いというイメージがあるが、そこは清潔感を持って行いたい。外から見ても新築工事と間違えられるような現場で安全な作業をできるというのが我々の目指すところ」
桑原組では、解体の品質を高めるために、常に行っていることがあります。「緻密な施工計画」の作成です。
営業が先行すると受注ありきになってしまう。問題点を把握し、お客様に向けてどのように進めたらいいかという提案書を事前に検討することは重要だというのがこの企業の考え方。
各部署の知恵を出しあって練り上げる計画、それこそが安全な現場を作り上げているのです。
桑原組は品質向上に向け事業展開も積極的に行っています。
広島市佐伯区の「湯来リサイクルパーク」は自社の解体工事現場で出たコンクリートガラをリサイクル製品へと再生する工場です。目的は解体事業の生産性向上とコストダウン。より質の高いサービスを目指しているのです。
作業の安全性にも十分心がけているというこの工場では、女性従業員もショベルカーを操作。働く環境を整え、質の高い仕事へとつなげていく。桑原組は常に品質とサービス向上に取り組んでいます。
今年創業60年を迎える株式会社桑原組。4代目となる桑原社長は、平成21年の就任と同時に、社内改革に取り組んできました。
ISOを取得し品質の向上に努め、そして、「ワンストップ土地更地化サービス」という独自の事業展開を考案。この10年で、解体だけではなく、不動産の有効活用提案から環境リスク対策、廃棄物処理、不動産売買まで一貫して手がける企業へと成長しています。
「この会社がどこを目指すのか、それを決めるのが私の役割。わくわくドキドキする会社にしないと社員も飽きてくるし、常に新しいことを考えていたい。」と桑原社長はいいます。
桑原組には次なる戦略がありました。
昨年の春、広島市西区にモデルハウスをオープン。その施工と販売を始めたのです。
ワンストップ土地更地化サービスという事業の終わりが更地化だったので、更地化した土地に何か「建てる」という自社アイテムがあってもいいのでは、という考えでこの事業を始めたと言います。
では、なぜ「無印良品の家」を選んだのか?
1つは、「無印良品の家」は構造的品質と機能性が高いという点。東北や熊本の震災において一棟も倒壊しなかったという実績があります。
そしてもう1つはブランド力。
建設業界では名の通った桑原組ではありますが、一般の人への認知度は低い。しかし、これから一般の人を対象とする新事業を進めるにはブランド力が必要。ならば「無印良品」のブランド力は非常に大切であると考えたのです。
「無印良品」のブランド力を突破口に、解体の実績と新事業を融合させた「桑原ブランド」を作り上げようという戦略です。
桑原社長は言います。
人から注目される、見られる。そして期待に応えるということは社員のモチベーションにつながる。また、会社が目指す方向性をきちんと示すことは社員の成長につながる。これからは「ライフスタイルの提案」や「まちづくり」ということを念頭に新しい取り組みをしたい。」と…。
100年企業に向け、桑原組の挑戦は続きます。
選ばれる解体業者、ワンストップ土地更地化サービスと優れた施工技術からサービスへ展開する桑原組。桑原社長にインタビューしてきた。
2度目の出演となる今回のポイントは『スクラップアンドビルド』
コトバンクによれば、老朽化したり陳腐化したりして物理的または機能的に古くなった設備を廃棄し、高能率の新鋭設備に置き換えること、とある。
桑原組のサービスはこの言葉を使わず、まちづくりを目指すとして、ただ廃棄するだけでなくリサイクルし、設備設置だけでなく街までつくる創造の領域に60年目にして着手した。
しかしながら、目指すべき目標を達成するためには当然ながらそのサービスを知ってもらい、実際に受注し、施主のイメージを実現することが必要となる。そして経営的には早く事業化することが必要となる。
そこで、桑原組は事業のコラボレーションに注目した。無印良品との連携である。
環境ビジネスのセミナーがきっかけとの話だったが、ブランドとそれに伴うモノを素早く揃えるビジネススピードを上げるには、技術移転・ビジネス移転は重要な視点となる。
それもつながりがあるものの、全く違う事業を行う事業者だからこそ意味があるのが技術移転・ビジネス移転である。
一方は解体して元に戻す、一方は何もないところに新しい空間を作る。
ここが一体化することで一貫したサービスが生まれる。それも環境に極力負荷なく、無印ブランドの品質と一致するさらに先に行くサービスを提供できる。
手を加えてよりよい修復、再生を図る新しいリノベーションサービス。
そこには新時代に向けた『スクラップアンドビルド』が必要であり、桑原組の素早いブランディング戦略、事業戦略のポイントだと考える。
今進む中心街での解体工事、この先にある新しい広島の街に期待したい。
会社名 | 株式会社桑原組 |
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業種 | 建設業、不動産業,物品賃貸業 |
事業内容 | コンクリート建築物解体、とび・土工、土木工事一式、環境リスク対策(土壌汚染、アスベスト、ダイオキシン類対策)、不動産遊休地の開発提案、無印良品の家建築・販売、リノベーション工事、産業廃棄物処理、不動産賃貸、空き家対策 |
従業員数 | 49人 |
年商 | 22億円 |
所在地 | 本社 〒733-0812 広島市西区己斐本町3丁目17-24 東京オフィス 〒107-0061東京都港区北青山2-7-13プラセオ青山ビル3階 九州支店 〒812-0008 福岡市博多区東光2丁目8番7号 湯来リサイクルパーク 〒738-0511 広島市佐伯区湯来町大字葛原字南郷三杭10319番9 無印良品の家 広島西店 〒733-0036 広島市西区観音新町3丁目8-19 |
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