2018.08.26 O.A.
頭脳を売る会社づくりがモットーの特殊印刷機メーカー
多くの色が使用されている、食品包装。
カラフルな色の実現には、最低でも4色の重ね塗りが必要です。
食品包装の印刷は、毎分200メートルで流れるフィルムに対して、
重ね塗りが行われています。
色を重ね合わせる技術を「見当(けんとう)」と言います。
調整ができていないと、プリント全体の絵柄がずれてしまいます。
見当を完全なものにするため、印刷機には、ハンコのタイミングを調整したり、
フィルムを送るガイドローラーが軽く回るようにしたりと、多くの工夫がされています。
独自技術で躍進し続けるのが、東広島市にある、富士機械工業 株式会社。
印刷機の追求で、数多くの特許を取得している企業です。
創業は昭和 26 年。 日本一を目指して、富士山にあやかり、
社名を『富士機械工業』としました。
事業拡大の契機となったのは、昭和 30 年代に到来したボウリングブーム。
ピンを自動的にセットする、 ピンセッターのメーカーとして躍進。
しかし、ブーム終了とともに、売上げは激減。
人間が生きている限り必要な、食品関係を狙い、
グラビア印刷機の業界に乗り出したのでした。
それから半世紀。
包装用フィルムに印刷する、グラビア印刷機では、国内有数。
金属印刷機では、世界有数の企業となったのです。
廿日市市にあるイケダ株式会社では、2015年に、グラビア印刷機を新しくしました。
旧型機では、フィルム交換をすると、見当ずれが、100mから200mくらいあったのが、
新型機では、30m程度に抑えられ、コストの削減に繋がっています。
廿日市市にある富安金属印刷株式会社では金属印刷機を導入しています。
富士機械工業では、新規導入ばかりではなく、既設の印刷機への改造などにも
対応しています。
徹底したユーザーサポートこそが、富士機械工業が継続してきた理由のひとつなのです。
40カ国もの納入実績のある富士機械工業では、
海外へのサービス充実も視野に入れています。
タイにある子会社は、その足がかりのひとつ。
今まで日本から修理やメンテナンスに出ていましたが、
より早くより細やかなサービスを海外のお客様に届けるべく設立。
今後を支える現地のエンジニアの教育に力を入れています。
今回のポイントは『発展を支える技術』。
富士機械工業の装置は、すべて個別仕様とのこと。
お取引先は自社の差別化のために、独自の工夫を求める。この要望に応えるべく
日々開発が続いている。
最近では、秘密保持についても強く要求があり、対応にも苦労されている。
秘密保持の締結は自社における技術開発を妨げかねない。
特許となり得る自社技術開発をするとともに、他社との共同出願もある。
共同出願の課題は、そのアイデアの所在にある。知財に対するバランス感覚を持っていないと、こうした活動は難しい。
富士機械工業は、知財のバランス感覚を持っている企業で、こうした感覚が、
『発展を支える技術』にとっての重要なポイントとなる。
早くから海外への輸出を展開している富士機械工業は、約60%が輸出製品である。海外での模倣は酷く、まるっきり同じデッドコピー製品まで出た時期もあった。
この対処について聞いたところ、あきらめたわけではないがどうにもならないこともあるという。
こうした中で大切なのは、人との関係づくりである。人との関係が出来ていることで、防衛することも可能になるという。しかし、1割程度の損害が生じることはやむを得ないと考えている。損失にばかり気を取られていては、海外への進出は難しいと言う。
事業のバランスを持つことも、『発展を支える技術』といえる。
『発展を支える技術』は人が作る。
富士機械工業では、人づくりには余念がない。小集団活動を中心に毎年テーマをもって研修を行い、自己啓発や博士号取得に至るまでサポートをしている。
やる気のある社員は、より伸ばしていくとのことである。
『発展を支える技術』において、知財のバランス、事業のバランス、人づくりの視点は、
どの企業においても大切である。
将来の大きな課題に、次の新しい技術で立ち向かうために、
『発展を支える技術』の視点を大切にしたい。
会社名 | 富士機械工業株式会社 |
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業種 | 製造業 |
事業内容 | グラビア印刷機、ラミネーター、コーター、金属印刷機の設計・製造・販売。 |
代表者 | 代表取締役 和田隆雅 |
所在地 | 広島県東広島市八本松飯田二丁目7番1号 |
お問い合わせ | 082-428-2450 |
ホームページ | https://www.fujikikai.co.jp |