2021.08.28 O.A.
時代と共に、土と共に生きるプロフェッショナル
広島市内の某所。地下7mで行われているこちらの掘削工事は、大雨による浸水から住宅を守るためのトンネルを作っています。道路に溢れた水がマンホールからこのトンネルに入り、近くの川へと流れる仕組みになっているんです。
住宅地の真ん中で工事を安全に行うには高い技術が必要となります。こういった地下での掘削工事や下水道工事を専門としている企業に新たなる価値の創造を見つけました。
三興建設株式会社。1968年江田島市で創業。その後、地中のスペシャリストとしてその技術は海外からも認められています。代表の越智剛(おちつよし)さん。32歳の時に大手ゼネコンから独立して40年。今も現場を愛しています。2009年から9年間、台湾の建築会社から高速道路工事を7件請け負いました。地域のためにと現地の同業者に技術を伝え、現在はアドバイザーとして関わっています。
東日本大震災後に三興建設が開発した仮排水システム「パスカル君」。
これまで黄色に色づけされた施工区間を直すためには各家庭の下水道を止めなければなりませんでしたが、パスカル君は損壊した下水道を避けて設置することで、各家庭の生活排水を止めることなく自動的に行ってくれる画期的な装置です。またパスカル君は通常の下水道工事はもちろん、災害地域でも重要な役割を果たしています。真空状態を利用して排水しているため電気を一切使用していません。
各家庭の下水が一定量貯まると真空になっているドライブ装置が作動し、貯まった下水を吸い取る仕組みになっているんです。
推進工事を得意とする三興建設。
三興建設の情熱! それは「現場にある付加価値を掘る」こと。推進工事はVTRにあるように、掘削機で穴を掘りながら下水管を設置する工事で、三興建設は推進工事を得意とする。 越智社長にインタビューを兼ねてテクニカルセンターを案内して頂いた。
越智社長の建設業にかける思いを聞いたところ、そもそも建設業は現場でモノを作ることで価値を生んでいる。
三興建設はゼネコンのように工事の元請けとなって工事作業を売るのでなく、専門性をもった技術により、いかに良いもの安く早く作るか。
そのために現場で必要な生産性や安全性を高める技術開発や工夫がポイントになる。
自らが現場で必要だから装置を発明し、現場で利用して施主や地域の方々に喜んでもらう。
排水をバイパスさせるパスカル君も、災害現場などでは地盤がずれたり崩れたりして、電気、ガス、水道などおよそ流れるエネルギーは来ない。そこで、工事現場ではたまった水圧で移送させるシンプルなユニットと離れたところで真空ポンプもしくはタンクユニットと分けて、仮排水配管を設置し、早く元の生活ができるよう考えられ、特許登録もしている。
また、建設機械は特殊であってそのサポートがなければよい工事はできない。そのために遠隔地とのサポートシステムも早くから進めてきた。それが、コマツと共同開発した推進データをWEBで共有するという「アイアンモールオペレータサポートシステム」で、台湾での事業を開始する2009年以前に開発、建設機械を遠隔管理・サポートサービスのグローバル展開の先駆けであったこと。今より10年以上前となると通信環境がそれほど整わないなかでも具体化させている。5G通信となればもっと活用範囲は広がるそうだ。
三興建設は「現場にある付加価値を掘る」ことで新たなる価値の創造をしている。
多くのアイデアや新事業新商品の種は現場を見渡し、その課題を解決することで生まれる。
これからも付加価値を掘り続ける三興建設に期待する。
会社名 | 三興建設株式会社 |
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業種 | 建設業 |
事業内容 | 土木一式、とび・土工、建築、水道施設、舗装、塗装、石、鋼構造物、しゅんせつ、造園 |
代表者 | 越智 剛 |
従業員数 | 63人 |
年商 | 非公開 |
所在地 | 広島県広島市安佐北区安佐町久地563-7 |
お問い合わせ | TEL:082-810-3636 FAX:082-810-3637 |
ホームページ | http://www.sanko-g.co.jp/ |