2023.01.28 O.A.
見えないところで現代社会を支える企業
広島県福山市に本社を置く株式会社アドテックプラズマテクノロジーは「電源」の専業メーカー。「プラズマ用高周波電源」という半導体を作る装置に組み込まれる電源を製造しています。
パソコン、スマートフォンや家電製品、車まで、現代社会のあらゆる場面で使われている半導体。現在その精度は、ナノメートル 10億分の1メートルという単位で測られるほど細かいもの。こうした微細な加工は、真空室内でプラズマを用いて行われます。そのために、家庭用の200万倍以上という高い周波数を 安定して供給する特殊な電源が必要です。アドテックプラズマテクノロジーは、 そんなプラズマ用高周波電源で 国内半導体工場への納入シェアトップクラスを誇ります。
創業は1985年、電子回路設計の下請けからスタート。 電源を手掛けるようになったのは、 創業者、藤井修逸さんが、取引先の半導体工場で「電源がすぐ壊れる」という言葉を聞いたことがきっかけです。「壊れにくい電源を作れば商売になる!」融資を求めて銀行をかけ回り、数億円かけて1号機を開発、2年の歳月をかけてついに完成させました。
とはいえ、電源メーカーとしては後発、 簡単に売れるものではありません。そこで、数億円かけて開発した1号機を半導体メーカーに無償で貸し出しました。
こうした思い切った営業の結果、アドテックプラズマテクノロジーの壊れにくい電源は半導体製造の現場で認められ、半導体装置メーカーから直接注文が来るようになったのです。
現場のニーズを掴んだ製品を生み出した結果、 売上は社会のIT化と足並みを揃えるように右肩上がり。半導体不足が世界的な問題となる今、その需要はますます高まっています。
アドテックプラズマテクノロジーの強みは、プラズマ用高周波電源専業であること。高い技術と自前の工場で、顧客のニーズに柔軟に対応するカスタマイズ力で他社に差をつけます。
今や世界が舞台。アジア、アメリカ、ヨーロッパに 6つのグループ会社を持つまでに成長。 2022年9月にはベトナムに第2工場の建設も始まりました。
「シェア世界一が目標」モチベーションも高い従業員とともに、今後は医療への活用なども視野に、プラズマ技術を活用して世界に役立つ会社を目指します。
今回のポイントは、“お客様の困りごとをなんとかする”
―プラズマテクノロジーとはー
「プラズマ」は気体に熱や電気エネルギーを加えると、非常に反応性が高くなる状態。雷も蛍光灯もプラズマ状態の一種。このプラズマを繊細にコントロールして、10億分の1m、1ナノ単位の穴や溝を掘ることや膜をつけることで、コンピューターの半導体集積回路は作られている。この生産工程の心臓部ともいえる電源装置をアドテックは製造し、メンテナンスも行っている。
―アドテックのお客様の困りごとをなんとかするー
森下社長に聞いたところ、電子機器回路基板を製造する会社から創業し、業務の中で、大手電子部品メーカーの製造装置回路設計も行っていた。その中で、当時のプラズマを発生させる電源装置が壊れやすい… という話を聞き、研究を重ねて壊れにくい電源を開発、装置を提案するとともに壊れたらすぐ交換・修理する体制も整えていった。今やプラズマによる加工装置の標準電源として世界のブランドとして知られるようになり、シェアを広げている。
今も困りごとを何とかする精神は継続しており、お取引先の役に立つ企業とすること、製品を作るだけでなくメンテナンス体制を整えることで、生産装置の不具合に迅速に対応し、壊れにくい、止めない生産に向けたサービスで差別化を図っている。
―プラズマ技術のこれからー
プラズマ技術は半導体など電子部品の製造だけでなく、微細加工、薄膜形成、表面改質、除害、殺菌・滅菌・消毒など医療機器などにも応用されており、産業の各分野でますます活用されるとのこと。アドテックの関連会社にも医療機器を提供する企業がある。開発される技術は知的財産権も確保し、さらに発展していくことがうかがえる。
福山から世界をまたにかけて活躍するアドテックプラズマテクノロジーにこれからも注目していきたい。
会社名 | 株式会社アドテックプラズマテクノロジー |
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業種 | 製造業 |
事業内容 | 液晶基板・半導体製造工程において使用される製造装置に搭載するプラズマ用高周波電源、マッチングユニット及び計測器等の設計、製造、販売及び技術サービスの提供 |
代表者 | 代表取締役社長 森下秀法 |
年商 | 123億3700万円 |
所在地 | 広島県福山市引野町5丁目6番10号 |
お問い合わせ | 084-945-1359 |
ホームページ | https://www.adtec-rf.co.jp |