2023.07.15 O.A.
未来を拓く新たな挑戦
ボルトやナットの専門メーカー、中国精螺(せいら)が、これまでに製造した製品は、
およそ5,000種類にもなるといいます。
90%が自動車向けで、ひと月あたり3000万個作られています。
中国精螺(せいら)では、ボルト・ナットを「鍛造」という、圧力を加えて少しずつ形を変えていく技術で製造しています。
ボルト・ナットを作るには、材料を削る、切削もありますが、鍛造には、あるメリットがあります。
それは圧倒的な加工速度。
1分あたり60〜200個もの製造が可能な技術なのです。
「規格品」のボルトやナット以外にも、特殊な形をした「規格外品」も製造しています。
それが、精密鍛造部品と呼ばれる製品です。
従来であれば、切削や溶接といった後加工で実現していた製品を、鍛造技術の中で製造できるようにしました。
従来は2つだった部品が1つになったり、後加工の手間・費用が不要になるので、コストダウンにも繋がっています。
自動車向けの部品を多く扱う中国精螺ですが、自動車の生産が減り、減収に陥りそうになったことがあります。
規格品は世界中と競合するので、値段だけの勝負になります。
そこで大量生産で価値の小さいものをたくさん作るよりも、少量でも価値の高い製品に取り組んでいった結果が、精密鍛造部品に進出した理由でした。
ボルトやナットしかなかった製品比率が、2020年には、精密鍛造部品が38%を占めるようになりました。
リーマンショック、東日本大震災、新型コロナと、2000年に入ってから発生した大きな経済危機の際にも、総生産数には減少傾向が見られますが、総売上高では、大きな減収を免れています。
さらにメガソーラー事業などにも取り組み、収益の柱を増やしていきました。
世の中の動きを読んで、新しい取り組みをすることで、企業が抱えるリスクの分散に成功している企業なのです。
社員から新事業の提案もされました。
・ナットの一輪挿し・ボルトのペン立て
・ナット廃材の似顔絵・自社ホームページのQRコード
諦めずに取り組む姿勢が、企業にとって、一番大切なことなのかもしれません。
今回のポイントは“部品の価値を上げる”こと。
―部品の価値とはどういうことですかー
奥本社長に中国精螺の部品の価値について聞いた。
ねじは要素部品として重要であるが、ねじだけでは価値を上げることはもはやできない。
一方で部品はまだまだ価値を高める余裕がある。そのための日々の開発が重要となる。
例えば、ねじとその先にある部品を組み合わせて一つの部品にすること。これによって機械装置の組立の時の容易さ、作業性の良さ、部品点数の削減、軽量化、確実な組付けなど多くのメリットが生まれ価値も高まる。
中国精螺の作っている部品をみるとそれが良くわかる。
―新たなる価値の創造ですかー
部品に限らず価値は顧客が求める満足度合を高めることにあって、さまざまな工夫で得られた効用・機能性が重要で、そこに対してより効率的で材料をなるべく減らしかつ削りかすなどを出さないことで余計な経費をかけないようにする。こうして価値は上がるといえる。
新たなる価値の創造の一つの手法に「鍛造」という加工方法があるといえる。
―部品の価値を上げるのは大変では?―
容易ではないことは確か。一方で新しい加工方法は常に生まれているし、情報化も進んでいる。例えば金属や複合材料による3Dプリンターや表面処理、さまざまなセンサーやデータの送受信やデータ蓄積。ハードとソフトを組み合わせて、顧客の課題を解決する方法を考えて、提案していくことでまだまだチャンスは広がっていく。
加工をする、という価値はもちろん、情報化やシステム化、一体化などによる価値向上はまだまだ発展させられる。
中国精螺がさらに機能的な製品による新たな価値の創造することへ、おおいに期待したい。
会社名 | 中国精螺株式会社 |
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業種 | 製造業 |
事業内容 | (1) 自動車用ボルト、ナット(2) 常温・高温仕様セルフロックナット(3) 各種精密鍛造部品(4) 建築用特殊ナット |
代表者 | 代表取締役社長 奥本 松樹 |
所在地 | 東広島市八本松飯田 2-8-4 |
お問い合わせ | 082-428-1000 |