広島地域 8ch

毎週土曜日 朝11時35分放送

独自の価値を創造する企業をテレビ新広島とTSSプロダクションが総力取材

放送内容 過去に放送した番組をご覧ください。

2024.08.10 O.A.

偶然から生まれた炭の新時代 ~新事業に挑む、情熱の組織改革~

日の丸産業株式会社
アサリが住みやすい環境を整える

2024年7月。山口県和木町、小瀬川の河口で小中学生が干潟で作業していました。これは和木町の「アサリが住みやすい環境を整えてみよう!」というプロジェクト。和木町漁業組合の指導のもと、小中学生と地元企業や役場の人々がアサリの生息数を調査し、住みやすい環境を整えます。
そんな中、干潟に「キレートマリン」という製品が並べられていました。このキレートマリンは、水質改善素材。水に浸すとミネラルが溶け出し、アサリの餌となる植物プランクトンを増やし、アサリの成長を促進。さらに、海底のヘドロから発生する有毒な硫化水素を抑え、アサリの生存率を高めます。

炭から始まった約100年の歴史

キレートマリンを作っているのが、広島市南区上東雲町の日の丸産業。LPガスの販売を主に手掛ける会社です。
1927年に家庭の調理に使う練炭や豆炭の製造で創業。しかし、1950年代には、家庭用燃料が炭からガス、電気へと移り、大きく業績を落とすこととなりました。こうした時代の変化を受け、1960年代にはガス事業へ進出。現在では売り上げの6割強を占める事業の中心に育て上げました。
そんな歴史から、「ひとつの商材・事業は30年持たない」という危機感を抱いていると、代表取締役社長の河尻毅さんは語ります。

偶然が産んだ「キレートマリン」

なぜ燃料を扱う会社が水質改善素材を作ったのか?そこには、ある偶然から始まる運命的な出来事がありました。
かつて呉市安浦の海沿いにあった煉炭や豆炭を作る工場で、ある日、製品の豆炭が海に落ちてしまいました。その数ヶ月後、その豆炭の周りに集まる魚の姿が見られました。
「豆炭に魚を呼び寄せる何かがある」この偶然目にしたヒントから、広島大学との共同研究がスタート、およそ20年もの歳月を経て、竹炭と鉄などを混ぜ合わせた水質改善素材「キレートマリン」が誕生したのです。
その効果は驚くべきものでした。アサリの養殖場でキレートマリンを設置したところ、設置していない場所と比べ、6ヶ月後、アサリの生存率が大幅に向上。さらに、庭園の池の汚れも大きく改善されるという結果が出たのです。
創業の原点である炭が環境改善という新事業を生んだのです。

部署の壁を超えたプロジェクトチーム

2022年春、日の丸産業は会社のブランディングを担う新たなプロジェクトチームを立ち上げました。集まったのは、部署の垣根を超えて会社の未来を担う10名。
最初の仕事として、会社のロゴ、ホームページを刷新。2024年8月には、チームが手がけた初めての商品が販売されました。それが、バイオマス発電の副産物である炭の粉と、間伐材の竹から作った竹炭を固めたカーボンニュートラルな固形燃料「ECO BBQ」です。パッケージデザインにも力を入れ、まさに日の丸産業の未来を象徴する商品となりました。

新事業に果敢に挑み、部署間の壁を取り払い、社員自らが動く組織へと変わっていった日の丸産業。そんな変革を率いる河尻社長、「みんなの心をひとつに集めることが一番力になる」と自らの信念を語ります。

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今回のポイントは「インナーブランディング」

―インナーブランディングとは?―
 商品名やサービス名、会社名といった商標の認知を広めることをブランディングといって、例えば、情熱企業に出演することで視聴者に会社の名前や活動、商品を知ってもらい、炭と言えば日の丸産業、と覚えてもらい買ってもらうことにつながることがブランディング。
企業や商品の価値を高めるために、自社のブランドや商品、サービスについて良いイメージを定着させる取り組み戦略の全般を指す。そのなかでもインナーブランディングは企業理念やブランド価値を社内に対して共有すること。逆にアウターブランディングは社外の顧客や取引先、投資家、一般消費者などを対象としたブランディングと言われている。

―企業理念やブランド価値を社内に対して共有するとどんな良いことが起きるのですか―
 日の丸産業では企業理念を表すマーク、ロゴを統一して、ホームページなどで自社イメージを浸透させるために社名だけでなくマークを示している。これによって社外だけでなく社内にも統一したイメージが理解しやすい。大事なことは燃料として使われていた炭が時代とともに衰退していくが、もう一度会社の理念や技術、商品、お客様などを見直してみると、社内にはまだまだ多くの可能性が存在している。それを気づくのは経営者と社員の気付きや心にあるといえる。
粘り強く炭の能力、活用、新たな展開を考え続けられたのは、社内にブランド力を浸透させるインナーブランディングによるところは大きいといえる。

―炭の能力を再燃させたのはブランド力、ということですね―
 日の丸産業では数年前から始めたWeb販売展開の時からブランディングに力を入れており、社内にブランディングチームを設置して社内の改革に取り組んだそうだ。良かったのは社内が活気づきいろいろなアイデアが出てきたこと。さらには新しい環境への取り組みを発信することで、入社したい、といった若い人が増えたこととのこと。

―ブランドディングは大切ですね―
 社外へ向けたPRだけでなく、社内にブランドを浸透することこそが、会社の魅力を本物にしていく活動と言える。インナーブランディングの重要性は今こそ高まっている。

 日の丸産業の優れた技術、商品、理念がより社内に浸透し、これからも新たな商品開発、新たなる価値の創造につながることを期待している。
企業情報
会社名

日の丸産業株式会社

業種電気・ガス・熱供給・水道業
事業内容木炭・LPガス・環境改善素材・住宅設備機器・住宅設備機器などの製造・販売
代表者代表取締役社長  河尻毅
従業員数正社員 48名(令和3年6月現在)
所在地広島県広島市南区上東雲町17-7
お問い合わせ082-281-4291
ホームページhttps://hinomaru-sangyo.com/