広島地域 8ch

毎週土曜日 朝11時35分放送

独自の価値を創造する企業をテレビ新広島とTSSプロダクションが総力取材

放送内容 過去に放送した番組をご覧ください。

2025.02.08 O.A.

広島オイスター~125年の時を超えた挑戦~

楠原壜罐詰工業株式会社
OEM事業での成長

安芸高田市に工場を構える「楠原壜罐詰工業」。
歴史は、明治30年代。創業者楠原政之助が家庭で親しまれていた漬物や佃煮を多くの人たちに届けたいと願い、長崎、熊本、大阪へと旅だった。様々な食品技術を学び、保存性を高める「瓶詰」「缶詰」という画期的な保存技術を習得。その技術を広島に持ち帰り、「合名会社楠原政之助商店」で販売を始めた。楠原壜罐詰工業の始まりである。
昭和50年代には、国内の大手飲料メーカーと手を組むことでOEM事業を開始。
平成8年(1996年)にペットボトルの大流行により、存続の危機にぶつかるが、「ボトル缶」という大ヒット商品を製造することで事業の立て直しに成功。
OEM事業は、売上の9割を占める主力事業へと成長し、楠原壜罐詰工業の大きな柱となった。

社長が下した決断

会社の将来のために、新しい事業を立ち上げなければならない。
楠原社長が下した決断。それは2021年、創業者が立ち上げた「政之助商店」をブランドとして復活させ、自社商品の開発だ。
約25年間自社商品を発売していない状況下での決断。
「食品メーカー」として復活することを目標にプロジェクトチームを立ち上げた。
リーダーに選ばれたのは入社わずか半年の松原さん。
中小基盤整備機構、広島県、食品工業技術センターなど行政支援を活用し、試行錯誤しながら商品の開発に没頭した。
約2年間の開発期間を経て、「広島オイスター」は遂に完成。
楠原壜罐詰工業にとって、大きな一歩となる新たなスタートを切った。

事業の二刀流を目指して

開発の知識が全くなかったプロジェクトチームに、次々と課題が立ちはだかる。
その度に楠原壜罐詰工業を支えたのは、多くの人との出会いだった。
川根柚子協同組合、尾道造酢、デザイナー、レストランのオーナーシェフ、多くの人たちの協力を得ることで、2023年に第1弾の商品「広島オイスター」を販売して以降、約2年の間に「広島ビネガー」「カキトマ」と商品を立て続けに開発し発売に至った。
楠原壜罐詰工業は、OEM事業と自社商品事業、2つの事業の二刀流を目指し、
「広島から全国へ、そして世界へ」という目標を掲げ、未来を見据え挑戦を続けていく。

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今回のポイントは「未来への活動で価値は高まる」

―未来への活動は会社がイキイキしてきますね―
 情熱企業で取り上げる企業は新しい価値を創造する中で、新事業新商品の開発に注力する
企業を多く取り上げてきた。その方法は企業によってさまざまな方法をとられている。
 楠原壜罐詰工業はブランドの復活、創業当初の「政之助商店」を押し出し、その歴史を紐解き
新しい商品として、食品会社としての復活を新しい価値としてとらえている。
 映像にあるような若いメンバーへの期待、ベテランメンバーのサポート、そして、銀行や
中小機構、広島県・工業技術センターなど行政支援を巧みに活用することがポイントと言える。
 第三者のアドバイスを受けることで、自社の強みを引き出し、弱みを補完できる施策を活用し
機会を捉えて商品を開発している。

―工場で製造の担当者が商品開発するって、大変ですよね―
 中小企業は開発を他の業務と兼任で行うことは多い。しかも、本業もしっかりと進めながら
商品開発をすることは容易ではない。楠原社長に伺ったところ、以前から工場の自動化を進め、
生産性を向上させることに尽力してきたそうだ。これにより急な受注にも対応でき余力も生む。
 開発メンバーはやる気のあるメンバーを抜擢する。やりたい、やってみたい意志をもつメンバーを集めないと難しい。そしてその活動を見守る
経営陣の覚悟も大切。余力を生む高い生産性、意志の強いメンバー、経営陣の覚悟がポイント。

―素敵な商品が開発されましたね。すごく早く進んでいるようですね―
 商品開発に取り組んで2年ほどで4品種、ものすごいスピードで商品化している。
得意な素材オイスターから商品化し、次は連携先の協力を得てビネガー、その間にカキトマを
仲間とともに検討を重ね開発していく。開発を加速させるのは、仲間との信頼と親密な協力関係。販売もまずは自分たちで進め、自社内でやるべきことをやる。できないことは仲間や支援
機関に頼り、手法を学んで力をつけていく。このネットワーク活用力は中小企業の商品開発の大きなポイントと言える。

―これから新商品に注目ですね―
 すでに次の商品開発へ取り組みが始まっているそうだ。広島県の素材を取り入れ、世界に
向けて販売も加速させていくとのこと。「未来への活動で価値は高まる」企業の価値、商品の
価値は社員が一丸となって協力し、未来を見据えて活動を推進していくことで実現する。

なお、楠原壜罐詰工業は来る2025年2月19日に、中小機構中国本部のハンズオン支援大会に登壇し、商品開発プロジェクト活動の詳細を発表するそうだ。気になる方は中小機構へ
問合せるとよい。
企業情報
会社名

楠原壜罐詰工業株式会社

業種食品製造業,缶入り清涼飲料水のOEMと「政之助商店」ブランドでの調味料の開発製造販売
事業内容食品製造業 缶入り清涼飲料水のOEMと「政之助商店」ブランドでの調味料の開発製造販売
代表者代表取締役社長 楠原 雄治
従業員数45名
年商42億8千万円(令和6年)
所在地広島県広島市西区中広町一丁目16番24号
お問い合わせ082-231-5185
ホームページhttps://kusucan.com/