2011.11.20 O.A.
床ずれを予防する介護用マットレスの開発に挑む
明治から続く『小川呉服店』は、1980年に福祉衣服の製作へと乗り出します。きっかけは、 小川意房社長の祖父母が寝たきりの生活を送るようになったことでした。 "介護をする人もされる人もみんながハッピーになれる製品を開発したい"、1989年『ハッピーおがわ』が誕生しました。 そして自身も大病を患い床に伏せた体験から、後に『ハッピーおがわ』の代名詞的な商品となる介護用マットレス 《ハッピーそよかぜ》の開発が始まるのでした。直腸癌を治療する大手術を行った結果、しばらくはベッドで仰向けに 寝ることができなかった小川社長が、様々なマットレスを試した結果、行きついたのは大手企業が開発した"高反発素材"。 それは術後に初めて眠りをもたらしたマットレスでした。
高反発素材を使った新たな介護用マットレスを開発するにあたり、留意したのは"床ずれ"の予防でした。 床ずれは、寝たきりや車いすでの生活など、長期に渡って同じ体勢でいることで発症する病気です。 同じ体勢で骨とマットレスの接触している時間が長く続くと、体重によって血管が圧迫され、血流が妨げられます。 この状態が長く続くことで、皮膚組織が壊死を起こし、床ずれを発症するのです。床ずれは悪化すると、 筋肉や骨まで損傷がおよび、骨髄炎や敗血症を併発する恐れもある深刻な病気なのです。 予防策はありますが、周囲の協力に頼らざるを得ず、特に寝たきりの場合などは、介護する側の労力も少なくないのが現状です。 床ずれの予防策として求められるのは、局部の圧迫を緩和させる体圧分散性。自力で体を動かすことのできる、体位変換性。 汗などの湿気を逃がす、通気性。洗うことができ、細菌の増殖も抑制する清潔性です。
《体圧分散性》高反発素材は、荷重を包み込むように受け止める適度な硬さが、局部の圧迫を和らげ血流を促す。
《体位変換性》ヘチマ条の繊維構造は、体が沈みすぎず硬すぎない適度なバネがあり、寝返りなど少しの力で体を動かすことができる。 体を動かすことができれば、そこに血流が生まれる。
《通気性》96%が空気の層でできている特殊な構造は、汗や尿などの湿気が逃げていくので蒸れにくい。 《清潔性》水分を吸収しないので、速乾性があり、また軽量で持ち運びしやすいので、 浴槽を使ってシャワーで丸洗いすることができる。
小川社長の理念を受けて、"ハッピーそよかぜ"の開発には介護や看護の分野から多くの人々が協力を惜しみませんでした。 中でも、人間工学・感性工学の世界的な権威である、広島大学名誉教授の長町三生氏の参入が開発を大きく前進させました。 長町氏の研究施設で専門の機材を用いた緻密なデータの検証が《ハッピーそよかぜ》の秘めた効果を具現化させ、より説得力を持たせました。
"ハッピーそよかぜ"は、地元の老人介護施設でも採用され、軽量で持ち運びが便利なことや、介護される人を動かしやすいことなど、 "介護をする人"の負担が軽減されたことが好評価に結び付いている。また、地元球団の広島東洋カープとコラボレーションした、 野球観戦に使えるクッションなど、高反発素材を使用した商品の開発は現在も進んでいる。
会社名 | 株式会社ハッピーおがわ |
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業種 | 製造業、医療,福祉 |
事業内容 | 介護用マットレス、介護服、防災グッズ |
従業員数 | 25名 |
年商 | 25,000万円 |
所在地 | 呉市阿賀南2-8-38 |
お問い合わせ | 【本社事務所】TEL:0823-74-1718、【大阪支店】TEL:072-931-2022 |
ホームページ | http://www.happy-ogawa.com/ |