2012.12.16 O.A.
全国で求められる新食材の可能性!
2012年10月。東京ビッグサイトで開催された「地方銀行フードセレクション」。 日本全国の有力地方銀行が推薦する「食材のプロ企業」650社が参加した大規模展示会が開催。 新たな食材を求める食品バイヤーのプロに限定された商談が行われていました。この会場で注目を集めていたのが、 瞬間高温高圧焼成法で加工された「パウダー」や「フレーク」状の新食材です。 この新食材を作っているのが、広島県呉市川尻町にある(有)瀬戸鉄工です。売り上げの8割を食品事業部門が占める会社です。 その原動力となっているのが『瞬間高温高圧焼成法』と呼ばれる、独自の食品加工技術。食材に60tの高圧プレスをかけ、 一瞬で均一の焼きを入れる技術です。 この技術を使った食材加工は、素材が持っている旨味成分を丸ごと凝縮。つなぎなしの原材料100%の加工食材 (フレークやパウダー)に生まれ変わります。原料が組織レベルで粉砕され多孔質状となっているため、 「あご・いりこ・カツオ・カキ」等の出汁にした場合、 凝縮した旨み成分を、より早く、濃く抽出することを可能にしました。お湯以外に、水の状態でも出汁の旨味が抽出できます。 東京ビッグサイトの「地方銀行フードセレクション」では、新商品「焼き野菜ブイヨン」(2種類)が登場、 その香りと美味しさで食品バイヤーの注目を集めていました。
『瞬間高温高圧焼成法』は、企業や地方自治体・大学・研究機関などと年間100例以上の食材開発を可能にして来ました。 通常、調理の際に過熱で失われやすい栄養素やビタミンも、玄米で比較してみると、加工後の「玄米パフ」の中に、 ビタミンB群「ニコチン酸」「ニコチン酸アミド」「ピリドキシン」「チアミン」が豊富に残っていることが分かります。
(※広島県立大学生命環境学部・武藤教授調べ)
人口およそ2800人。その4割以上を高齢者が占める広島県三次市甲奴町(こうぬちょう)。 地元、青年団が中心となって立ち上げた地域活性化プロジェクトチーム『GANBO(ガンボ)』では、地域再生に、 地元特産品の新たな活用法を探していました。 そこで注目したのが、規格外となったの未利用なアスパラガスでした。三次市のアスパラガスの畑(約36ha)では、 収穫期に曲がったアスパラガスなど、1日1t近い規格外品(約1割)が出ていました。その生産者のほとんどが高齢者の生産者。 皆がやりがいを感じる取り組みが求められていたのです。そこで、出会ったのが瀬戸鉄工の加工技術「瞬間高温高圧焼成法」でした。 アスパラガスをパウダー化することで、長期保存が可能となり、さまざまな商品開発の道が開けました。 1次産業(生産者)・2次産業(食品加工)・3次産業(流通・販売・サービス業)、将来は6次産業まで、 若者世代が地元に定着して活躍できる場を作くる夢の実現に向けて、取り組みが始まっています。
「瞬間高温高圧焼成法」で加工した、"焼き米粉"のパウダーで新たな可能性が広がりました。 焼き米粉のパウダーは、保水力が高く、水分と混ぜ合わせると「とろみ」を自由に付けられる特徴が分かったのです。 フランス料理「ル・ジャルダングルマン」の小山賢一シェフが、米粉の白い素材を生かし、 『とろみ』のある色鮮やかなソースを完成させました。 これまでのソース作りは、素材を加熱してとろみを加えていましたが、 瀬戸鉄工の"焼き米粉"パウダーを使うことで、加熱する必要が無くなり、 レモンビネガーの爽やかな香りを生かしたピューレ状のソースが、短時間で簡単に作れるようになったのです。
今、新たに介護食の分野で瀬戸鉄工の新食材が注目され始めました。 飲み込む力や、噛み砕く力の弱くなった高齢者の『嚥下食』に、新食材の活用が期待されています。 上田部長が訪れたのは、広島市西区にある訪問介護ステーション「草津かもめ」。 医療介護の現場で活躍する看護士や理学療法士、ヘルパーの皆さんに、 新食材の美味しさと食べ易さの効果を試食体験してもらいました。 やはり、注目を集めたのは「焼き米粉」。カルシュウムが豊富な、 ふぐ出汁と合わせた米粉パウダーの「お粥」は、手応え十分です。 医師が24時間365日体制で在宅医療を支援する、全国的にも有名なクリニック 「コールメディカルクリニック広島」(西区古田台)で、 実際に焼き米粉のパウダーを使った「試作調理の試食会」が開かれました。 病院の栄養士と調理師が、色々な「とろみ具合」に調整した料理を試作準備。 体験した患者さんの反応も、手応え十分。今後の展開が楽しみです。
会社名 | 有限会社瀬戸鉄工 |
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業種 | 製造業 |
事業内容 | 樹脂成型、食品加工、食品、調味料等の製造・販売 |
従業員数 | 35名 |
年商 | 3億4,500万円 |
所在地 | 広島県呉市川尻町上畑1068-4 |
お問い合わせ | TEL: 0823-87-4147、FAX: 0823-87-3748 |
ホームページ | http://www.yakiiriko.com/ |