広島市にある、とあるモデルハウス。中に入ると、エアコンもないのに、冬でも、ほんのり心地よい暖かさを感じます。実は、ここ、地中熱を利用した換気システムを体感できる「地熱の家」。この住宅を手がけているのは、広島市安佐南区にある広発工業株式会社とそのグループ会社です。

広島市安佐南区大町にある広発工業株式会社は、昭和５２年、主に都市ガスの管工事を行う総合建設業として創業した企業です。その後、分譲マンションの建設・販売へと事業を拡大し、業績を伸ばしてきました。しかし、2代目となる村上知史社長は、就任当時、「仕事は、あちらからやってくるもの」という殿様企業的な考えに危機感を感じていました。そこで、自ら戦略を立て、展開できる住宅産業への参入を決意します。厳しい業界へ後発での参入です。

平成１４年、広発工業は、住宅産業への参入に向け、木造住宅を専門に扱う広発ブレイン株式会社を設立します。しかし、ネームバリューもノウハウもない中、参入した住宅産業。多くの住宅メーカーがしのぎを削る厳しい業界での生き残りをかけ、まず行ったのは、住宅FC「フィアスホーム」への加入でした。狙いは、「住宅産業での営業の仕組み作り」でした。「フィアスホーム」は、住生活関連事業を行うLIXILグループの一員です。本部は、住宅会社としてのノウハウを提供し、細やかなサポートまで行ってくれます。このシステムを活用し、広発グループは、短期間で住宅会社としての基盤を固めていきます。

広発グループが生き残りをかけて目指すのはオンリーワン商品の開発です。しかし、新商品開発には時間もお金もかかります。そこで、村上社長は「良いと思う物は、全て取り入れていく」という気持ちで、他社の優れた技術や製品を調べ、研究を続けました。そんな中、自然エネルギーを利用する換気システム「ジオパワーシステム」と出会います。ジオパワーシステムとは、山口県の企業が開発した地中熱を利用する換気システムです。地下5メートル前後の地中熱は、地盤の特性により冬は約１７度と比較的高く、夏は約１５度と比較的低い温度になっています。そこで、地下5メートルまでパイプを通し、熱交換することで、冬はほんのり暖かく、夏はほのかに涼しく感じる自然の空気を送り込んでくれる仕組みになっています。山口県にあるモデルルームに足を運び、この換気システムを体感した村上社長は、広発の住宅づくりに導入することを決めます。

ジオパワーシステム導入を決めた広発グループは、フィアスホームのオリジナルであるeパネルとのマッチングを思いつきます。eパネルは、性能の高い断熱パネルです。フィアスホームでは、eパネルを使った独自の工法で高断熱高気密住宅を実現していました。そこに、自然の空気を吹き込むジオパワーシステムを組み合わせれば、それぞれの効果がより引き出されると考えたのです。そして、この組み合わせは、広発だけのオンリーワン商品となりました。

村上社長には理想の住宅像があります。冬暖かすぎず、夏涼しすぎない、エアコンに頼りすぎない住宅です。人には、体温調整機能があり、その機能を保つためには、このような環境が良いと考えています。ジオパワーシステムとeパネルを組み合わせは、その理想の住宅を実現してくれると言います。しかし、良いとはいえ、決して安価ではありません。営業展開に難しさもあります。しかし、お客様には、本当に良い商品を提案し、納得のいく住宅を提供したいと、広発の営業マンは、ひとり一人のお客様と、とことん話し合う営業活動をしています。自慢の商品を少しでも多くの人に体感してもらうため、新しいモデルルームも建設します。他社との連携で生まれた広発のオンリーワン商品で住宅産業に挑戦する広発グループ。より良い住宅づくりを目指し、探求を続けます。