広島地域 8ch

毎週土曜日 朝11時35分放送(土曜日 深夜再放送中)

独自の価値を創造する企業をテレビ新広島とTSSプロダクションが総力取材

放送内容 過去に放送した番組をご覧ください。

2016.07.31 O.A.

創造力を生み出す想像力

有限会社セイエン
三つのコア技術

金属パイプを折り曲げる、極小R曲げ。
つなぎあわせる、プロジェクション溶接。
絞ったり広げたりという変形をさせる、スエージングやエキスパンド。
三つのコア技術で、金属パイプを加工する企業が、呉市音戸町にある、有限会社セイエン。
国内、多くの自動車メーカーに、部品を供給しています。

セイエンの始まり

昭和36年(1961年)、自動車のボルトやナットを切削加工する、
青園鉄工所として創業したセイエン。
昭和43年(1968年)には、有限会社設立とともに、金属パイプの加工に着手。
加工方法は、パイプに別の金属を融かしてつなぐ、ロー付け。
手間も技術も必要な加工方法でした。

技術開発の道は、生き残りの道

ところがある時期から、ロー付け製品が大量発注されるようになったのです。
人手の少ない中で、他社にできないものを目指さないと生き残れない。
そこで手にした技術が、瞬間的に高電圧をかけて、
素材同士を溶け合わせるプロジェクション溶接でした。
プロジェクション溶接を使うことで、今日入った人でも、熟練工なみの製品が作れる上、ロー付けの5倍〜10倍の量の生産が出来るようになったのです。

さらなる技術開発

ふたつのパイプを、直角にロー付けしていたL型部品の加工にも、新発想。
ロー付けに対し、パイプを曲げるという発想に至ります。
曲げることで、パイプに生じる、内側と外側の肉厚の差。
それを調整する技術を獲得し、直角での折り曲げを実現。
誕生したのが、『極小R曲げ』でした。
さらに一本のパイプを、絞ったり広げたりする、
スエージング・エキスパンドの技術を確立。
研鑽(けんさん)した技術で、要求された仕様を越える独自製品を、自動車メーカーに提案。
セイエンはパイプ加工のエキスパートとなったのです。

上下関係よりも仲間意識

社長は頻繁に、工場内を視察。可能な限り、社員ひとりひとりに話しかけます。
それは社員の、忌憚の無い話を聞くための行動。
「仲間意識がないと、上下関係だとなかなか難しい。
みんなの力が必要。」という社長の思いの現れです。

培った技術を継承するために

長年積み上げた、セイエン独自の技術。
それを継承するため、製造課 竹田課長と品証課 渡辺課長、
ふたりの責任者が現在、CADを学んでいます。
「自分の思うものが出来なかった時に
対処する引き出しがいっぱいある人が職人で
プログラム通りに、こんな立派なものが出来ました、という人は、職人じゃない。
想像を巡らすことを、常日頃からやってくれと話している。
そこから色々なものが創造出来る。」
と社長は言います。

想像力の原点は……。

仕事の合間の社長の楽しみ。
それは事務所に設置された望遠鏡で海を眺めること。
「妄想・空想・想像ね。
 戦後、何もない時代に想像力を広げて楽しんでいた。
 その結果が仕事にもプラスになったかなと。」
可能性を夢見た想像力が、新たな製品を生み出す原動力になっていたのでした。

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 「ニッチなモノづくりは強い」

多種多様な圧入用精密パイプを製造するセイエン。
景色の良い海沿いに位置するセイエンは、
自動車や医療機器などの主要機能部品をつなぐ継手となる
圧入用パイプの精密成型を得意とする。

ポイントは
・パイプ加工機を自らのノウハウを付加した専用機での多品種少量対応
・わかりやすい生産管理を支えるシンプルなIT化
・小さくコンパクトな部品を提案する価値向上の取組み
といえる。

圧入用パイプの塑性加工製品はφ4~φ24が主流のサイズで、
自動車のエンジン燃料系装置などに燃料などを供給する。
開発のねらいは小型化・軽量化・機能化への対応。
それが多種多様なパイプを作ってきたことにつながっている。

セイエンのパイプには小型化、軽量化、機能化への工夫が随所にみられる。
パイプを曲げる難しさは、外径より内径部分の肉厚調整が難しい。
シワやヒゲと言われるバリのようなものが出やすい。
ここに特許技術が生かされている。
今の装置はより確実に簡単に組み立てるために、部品への工夫は欠かせない。
部品に機能を持たせ、部品点数を抑え、見栄えまでよくすることが要求される。
ちょっとした凸凹が位置合わせや組立精度を高め、
取引先の装置のコストダウンに貢献している。
また今まで部品を組み合わせて作っていた部品を
一つに合わせることも工夫の一つ、
VE(バリューエンジニアリング:価値工学)提案である。
これは自動車に限らず、医療機器や洗浄機など
多岐にわたる製品に応用されている。

パイプ加工には曲げるだけでなく、
接合するプロジェクション溶接も取り入れている。
これにより漏れのない接合ができ、樹脂との複合部品を金属だけで作る。
環境にもやさしい。

そして少数精鋭のものづくりを支えるITの活用にも注目したい。
工場にはディスプレーが設置され、従業員は毎朝これを確認して作業に入る。
月次管理、進捗管理、販売管理、納品の日程管理など
日常業務に必要な項目を網羅。
受注があれば瞬時に現場の作業者に生産指示が出され、
製品がどの工程を流れているか、一目で把握できる。
大きな効果を発揮していることが、すっきりとした工場を見て理解できた。

「ニッチなモノづくりは強い」
ニッチだからこそ取引先の信頼は厚く、
そこにこだわる開発は大きな価値を創造する。
収益力・技術力に生きる中小企業の
勝ち残りのビジネスモデルをセイエンに垣間見た。
企業情報
会社名

有限会社セイエン

業種製造業
事業内容自動車及び機械用金属配管部品の製造
代表者青園敏夫
従業員数30名
所在地〒737-1217
広島県呉市音戸町渡子1-5-5
お問い合わせTEL 0823-51-2644   FAX 0823-51-2671
ホームページhttp://www.seien21.com