広島地域 8ch

毎週日曜日 朝6時45分放送

独自の価値を創造する企業をテレビ新広島とTSSプロダクションが総力取材

放送内容 過去に放送した番組をご覧ください。

2020.01.19 O.A.

その人らしく生きるお手伝い 食べる力は生きる力

医療法人社団明和会 大野浦病院
「少しでも食べてみたい」を実現する食べるレクリエーション

病院のデイルームで始まった餅つき。
それは飲み込むことが難しくなった人のための「食べるレクリエーション」
餅つきを見守る人。ついた餅を丸める人。
でも一番の楽しみは、やっぱり食べること。
高齢化や病気が原因で、飲み込みが難しくなった人には、少しでも食べてみたい、もう一度味わいたいという、思いがあります。
その思いを少しでも実現しようというイベントなのです。

その人らしく生きるためのいい循環を作る

飲み込みにくい人でも口から食べられるよう取り組む病院。
それが廿日市市にある、医療法人社団 明和会 大野浦病院です。
治療して終わりではなく社会に復帰してその人らしく生きるためのいい循環を作っていくことを目的としています。
柔らかくしたり、細かく砕いて提供される食事。
でもそれだけでは、食べものが喉を通らないので、口のまわりの筋肉をほぐして、食べやすい状態を作るようにしています。味わうこと、感じること、食べることの楽しみは生きていくための力を作るといいます。
可能な限り、寝たきりにしない、ということも、取り組みのひとつです。
自分でできることは自分でする。
それが気力や体力を培うのです。

口から食べることに着目したきっかけ

大野浦病院の開設は平成6年(1994年)。
平成12年(2000年)に、介護支援事業をスタート。
平成14年から、口から食べることに取り組み始めました。
口から食べることに着目したのは、ほかの病院での経験を持つ、スタッフの行動でした。
口の中や飲み込む力を見ていくために、氷で冷たい刺激を口の中に入れると、思っていた以上に、しっかり口を動かせる利用者が多かったのです。
「この人は寝たきりに近づいていくと思った利用者が三ヶ月くらいで自分で食べられるようになった。病院ではなんですが、奇跡だなと。
 利用者がひとりふたりと治っていくのを見てスタッフは心を動かされて行ってもっとその人のニーズに応える。在宅に帰った時にどうして行きたいのか、それがその人らしさにつながっていったりとか、もっともっとできることがあるとやればやるほど気がついて来る。」
と久保会長は語ります。

スタッフが支える〈その人らしさ〉

大野浦病院では、POTT(ポット)と呼ばれる食べるための姿勢づくりの勉強会を
定期的に開いています。
健康な人の食べる姿勢は、少し前かがみ。
でも入院している利用者は前かがみが難しく、後ろにのけぞったりしてしまいます。
傾斜をなくすためにタオルなどを隙間に入れて、横から見て背中が90度に、足も太ももから膝が90度に曲がるという理想の姿勢を作っていきます。
さらにこまめなカンファレンスで、利用者の状況を把握。
看護師・介護士・言語聴覚士・理学療法士といったスタッフ同士で、常に情報共有をしています。
大野浦病院を支えているのは、スタッフひとりひとりの工夫と努力なのです。

大野浦病院らしい「働き方改革」

介護士の奈良本さんは、病院で働きくながら、グループホームで働いています。
大野浦病院では、副業が認められているのです。
これは職員アンケートを元にした、働き方改革の一環なのです。
病院でで学んだこととは違うことが、違う仕事をすること身につけられる。それはスタッフも法人も共に成長できる取り組みなのです。
大野浦病院の取り組みは、さらに広がります。
経営している、共同生活介護施設でも、口から食べる取り組みを参考に、入居者の食事内容を検討。
地域との接点となる大野浦フェスティバルを開催。
さらにスタッフのこどもを招いて開く、子ども参観日。
働く親の姿を見ることのできるこの取組みは、職員の家族まで思いやる、大野浦病院の姿勢が伺えます。
スタッフの幸せを支援する経営と、利用者をサポートするスタッフが病院を支える力になっているのです。

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ホスピタリティーと共に、サービス業であることを理念とする大野浦病院。
今回は『やりがいは職場環境を変える』をポイントに考えてみた。
宮島が見える海からほど近いところにある大野浦病院。経営を担う久保会長へのインタビューに伺う。2号線から少し入ったところにある120床を備える普通の病院。
久保会長が経営を任された当時の大野浦病院の稼働率は70%程度で厳しい経営状態にあったとのこと。病院は決められた枠にそった収益構造にあるためコストダウンや収益アップは容易には変えられない。当然ながら利用者の要求に応える医療・介護サービスの充実により大野浦病院を選んで来て頂くことが重要となる。
情熱企業では決まった場所で収益を上げるサービス業として飲食店、保育所などを取材してきたが、選んで頂くための“一推し”の特長を打ち出すと共に、それを提供し支える“人づくり”が欠かせないことを伝えてきた。
病院職員は基本的にホスピタリティー精神をもつ専門家で構成されている。
医師、看護士、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、介護士、薬剤師…。役割によって業務形態や勤務時間も決められている。そもそも治療、リハビリなど病院サービスはどこも同じではないか?
久保会長は会長就任時、厳しい状況のなかでまんぜんと業務を進める職員に何をするとよいのか悩んだそうだ。その答えは現場にあった。
利用者の機能回復の中で“食べることが生きることにつながる”ことに注目した。
口から食べる機能“摂食嚥下”を回復することで重い症状の利用者の状態が変わることを体験、大野浦病院のイチ押しにしていくことへとつながった。
しかし、食べて飲み込むことは個人の状況によって変わる。機能回復には食べさせ方や前後の状態など常時観察の必要がある。看護と訓練に手間と多くの知見、技術を要する。
どうやって実現するか。久保会長は専門技術集団である病院スタッフを組織化し、自社の得意分野を打ち出して方向性を示し、賛同する意識の高い職員を育成することに注力した。
数年かけて職員個々が目標を持ち所属部門での成果発表、研究発表の場を設定するなど活動を推進、これがやりがいにつながる。
専門家同士が連携して利用者一人一人を観察し情報交換できる“ONETEAM”環境を整えていった。これが高いレベルを要する摂食嚥下看護を支えている。
いまでは利用者へのサービスは自ずと向上し稼働率も向上し、職員自らが新しい技術を習得し職員の定着率も向上しているそうだ。
競争の激しい市場でも得意な技術に注力することで新しいサービスの開発につながり、顧客を増やすことはできる。開発をすることでやりがいのある目標を示すことにつながり、職場環境が変わり人が変わり会社は変わる。
進化するホスピタリティーの大野浦病院の発展に期待したい。
企業情報
会社名

医療法人社団明和会 大野浦病院

業種医療,福祉
事業内容◆医療サービス事業
・大野浦病院外来:内科・神経科・リハビリテーション科・整形外科
・大野浦病院入院:医療療養型病床、回復期リハビリテーション病床
◆介護サービス事業
・認知症対応型共同生活介護「ラ・メール大野」
・サービス付き高齢者向け住宅「さくらす大野」
・訪問看護ステーションさくら
・通所リハビリテーション
・通所介護
・居宅支援事業所
代表者理事長 曽根喬
所在地広島県廿日市市丸石二丁目3-35
お問い合わせ0829-54-2426
ホームページhttp://www.onoura.or.jp/index.html